嘘のような本当の話

上記のあと、妹と合流し、ご飯を食べてたら義姉からの電話で衝撃の事実を告げられた。

兄が仕事場の階段を踏み外しただかなんかで病院に運ばれたと。しかも意識はあるもののどうやら記憶が全く無くなってしまったらしい。。。

病院に駆けつけるまで、兄との思い出が走馬灯のように。兄にだれか聞かれたらショックだな・・・と思っていたのですが、実際会ってみて「お兄ちゃん」とわざと言ってみたら(普段はひでちゃんと呼んでます)、眠くて仕方がなさそうな表情から「お兄ちゃんていったということはコイツは妹か?!」とじーっと見つめてきました。(ああやっぱりわからないんだな)と思ったものの、心の準備をしていたからか意外と平気でした。それどころか「お兄ちゃんて言われるのってどんな感じ?不思議?」などと不謹慎なことをきいてしまった。「なんでそんなこというの?」って半笑いの兄。
しかもあの兄が私や義姉に向かって敬語・・・これは完全に人格まで変わっている。

なんだろう。普段兄は無愛想だし、超横暴だし、相槌とか返事とかも「あー」だか「おー」だかわかんないような感じで、だけど記憶が無くなることによって失われるのって記憶だけじゃなくって、表情とか雰囲気とかそういうものもなんだなと痛感した。
人はみんな知り合いや家族には無意識に何かを発していて、だけど、自分のことも周りのことも誰一人としてわからない兄は本当に別人のような顔つきで、だけど仕草とかは私の知っている兄で、なんかそれが不思議だった。

記憶が戻らなかったという悲観的な考えも浮かんだけど、兄が忘れても私が覚えていればなくなることにはならないし、義姉や姪っ子たちにとっては受け入れるまでは相当辛い日々になるだろうけどまた一からのように思えても築き上げていくことは今までと変わりないし、明日は記憶が戻るだろうと期待していくよりもいつか戻ればいいなという希望くらいの気持ちでいた方がみんな楽でいられるな、とかそんなことばかり考えていました。

・・・とここまで書いたら電話が。どうやら少しずつ記憶が戻ってきたようです!ビバ!
それを聞いたら少し泣けました。なんか義姉は表情にはあまり出さなかったけど、わかる?と聞いたら「わかりません」と兄に言われて、わからないことよりも敬語で話されることが辛かったと声を震わせていたので、義姉の気持ちを考えたら本当に本当によかったと思って。
明日あうまではなんともいえないけど、希望が見えてきたのはよかった。

そういえば・・・私は一時期記憶を手離せたらなとか思うことがあって、今でも時々大事なことだけ忘れないなら色んな記憶を手離したいと思ってしまうんだけど、今回のことで義姉や姪っ子たちのことを考えて海よりも深く反省しました。息子にこんな思いをさせたらいけないっすね。