夕暮れ時、まだ青い空に浮かぶ月のその白さにハッとする。家が近づくに連れてどんどんとその白が輝くかの様に濃くなっていき、たなびく白い雲には薄い青とサーモンピンクが交じり合うように色付いていた。上り坂でこのまま空に向かって駆け上がって行けそうで嬉しいような気持ちなのに、その空のあまりの美しさになんだか泣きそうにもなった。
毎日毎日、自分の何が悪いのか、何故そうなったか、自分のことばかり考えていたからだろう。いつしか自分の目に映る色がすべてくすんでいるような感覚で、道端のひまわりをみても「鮮やかだ」と思えないことに愕然としていたので、この景色を美しい色だと感じることができて嬉しかった。